9/10/2013

両者気づかず


黒先手


20.Bxa8?? でルークを取ったところ ( 私が白 )。自分も相手も気づきませんでしたが、黒が勝てます。


9/08/2013

なぜ混乱するのか? そして、分かりやすい考え方。


白先手


Duras, 1905

100 Endgames You Must Know - Jeses de la Villa に出てきた問題 ( 創作 )。
簡単そうに見えますが、最期まで正確に読める人の方が少ないと思います。


正確な読み


「 正確な読み 」 が大事であるとよく見かけますが、正確な読みとは何だろう? と思い自分なりに考えてみました。ネットで検索しても 「 正確な読み 」 について詳しく述べられているものは見つけられませんでした ( 2013年 9月8日現在 )。 将棋の方でも探してみましたが、参考になるページを見つけられませんでした ( どなたかご存知でしたらお教えください )。

「 読み 」 は自分と相手の指し手を考え、先の局面を想像して、その局面について考えることです。先の局面が読めれば、不利を事前に回避したり、Tactics で有利を得たり、適切な手を指していくことができます。オープニングからエンドゲームまで、読みを行わないことはほとんどありません ( 読まないのはその手しか指せないという場合。また、読まずに不利となるということはよくある。 )。

「 正確な読み 」 となるとただ読むのではなく、その読みが正しいということ、つまり正しい判断で読みを行うことです。

例えば、先の局面で自分が読んだ通りの局面になれば、それは自分の読みが正しかったと思えます。しかし、自分では有利を得たと思っていた局面が、ゲーム後チェスソフトで調べてみたら、実は相手の方が有利だったとか、途中自分の悪手に相手が気づかなかった、というようなこともあります。そのような場合は本当の意味で 「 正確な読み 」 とは言えないでしょう。

「 正確な読み 」 については 3つのことが考えられます。

1手ごと駒の位置を間違えることなく、先の局面をイメージできる

候補手や応手が多くても、混乱しないで読むことができる

状況を把握し、自分と相手の最善手、または適切な手が分かる

他にもあると思いますが、この3つが 「 正確な読み 」 の主要素となるでしょう。

「 正確な読み 」 が求められるのは特に
Tactics があるとき
長い手数を読むとき
候補手、応手が多いとき
複雑な局面
など

「 正確な読み 」 について分かったら、「 正確な読みを行うにはどうすれば良いだろう? 」 と思うのが自然です。

正確な読みができるようになるには時間がかかります。簡単な1手、2手メイト問題などから始め、その時点における自分の実力に見合った Tactics 問題や Endgame 問題を解いていくことで読みが正確になっていくでしょう。

また
① 1手ごと駒の位置を間違えることなく、先の局面をイメージできる
② 候補手や応手が多くても、混乱しないで読むことができる
③ 状況を把握し、自分と相手の最善手、または適切な手が分かる

それぞれについて、それができるようになるにはどうすればいいか考えましょう。

① 定期的に Tactics 問題や、Endgame 問題を解いていくことで、少しずつ長い手数を正確に読めるようになっていくでしょう。また Visualization を高めるのには 「 脳内チェス トレーニング方法 」 が役立ちます。

② この記事を書いている時点で思っていることは、「 変化が多い場合 」 の記事で述べているような方法です。

③ これはオープニングからエンドゲーム、Tactics、Strategy などそれぞれの分野における能力が関わってくるため、それぞれの分野について本などで勉強していくしかないでしょう。


変化が多い場合


Tactics 問題を解くときに候補手や相手の応手が多くある場合、すなわち変化が多い場合どのように対処すれば良いでしょうか?

今までは
変化が多くて良い手が分からない → 解答を見る

とするしかありませんでしたが、変化が多くて自分の頭の中では分からない場合、変化を1つずつ紙に書いたり、パソコンのメモ帳など記していくと混乱せず、解答に至れることがあります。

これはゲーム中に行えませんが、変化を紙に書いて考えていく方法を参考にして、それを頭の中で同じように行なっていくということは可能だと思います。

具体的にどのように考えていくか述べる前に、変化が多い場合、何が問題になっているか考えてみましょう。


頭が混乱してきてどの手が良いか分からなくなる

迷いが生じる ( この変化はダメかも? 他に良い手があるかも? など )

考えているうちに疲れてきて思考力が落ちる、思考するのをやめてしまう

1つの変化で良い手が見つかっても、応手を全て確認する必要がある

など

それらに対処できるよう、順を追って述べていきます。


Khalifman - Serper
St Petersburg 1994


Forcing Chess Moves - Charles Hertan の本に出てきた問題、白先手の局面です。

初手はいろいろ考えられますが、1.Rxb7+ から続けていくのではないかと思い
その後 1...Ka8 2.Qxa7# 1...Kc8 2.Rcxc7# なので 1...Kxb7 となります。

1...Kxb7 の後は 2.Qb5+ や 2.Na5+、2.Rc6 などの手を考えましたが、結局上手く行かなかったので、紙にそれぞれの変化を書いて考えることにしました。




Tactics 問題を解くとき、まず私がしていることはマテリアルの確認です。解答となる手順を早く見つけようとするのは良くないと思ってます。何故なら、すぐ解答となる手順が見つかる場合もありますが、いつもそのようにしていると視野が狭くなり、良い手に気づかなくなる癖がつくと思うからです。

実際のゲームならばマテリアルは把握しているので、これは省略できます。上図ではマテリアルは同等です。

次に初手を考える前に攻撃されている駒を白黒両方確認してます。これは攻撃されていることに気づかず不利を招くことを避けるためと、駒を攻撃していることが Tactics につながることが多いからです。Nd7 が Rc5 を攻撃していることを白は注意する必要があります。




 次に安全確認です。白キングはとりあえず安全そうなので、とりあえず Nxc5 とされることに注意します。他に気づくことは、 Rb2 が b7 ポーンをピンしていること、Qa4 が Nd7 をピンしていること、Nd7 が動けば Qe8 が Qa4 を攻撃すること。Rh6 が a6 - b6 など黒キング周辺の防御に加わわること、など。

ここまでは紙に書く前に頭の中で行なっていたことです。以下は紙に書いて考えていったことです。




初手候補手
最も強制する手 1.Qxa7+  1.Rxb7+
次手メイト狙い  1.Qb5  1.Qb4  1.Qb3
可能性のある手 1.Rxc7  1.Na5  1.d6  1.Rc6

など、紙に書きました。その手はないと感じていても多くの候補手がある場合は、少しでも可能性がありそうなら、紙に書いておきます。1.Qxd7 Qxd7 のようなこの手はダメだろうというものは紙に書きません。後から気づいたことですが、次手メイト狙いの 1.Qb5 等は 1...Nxf5 でダメですね。

紙に書く候補手は、実際に考えていく順で書きます
1. 最も強制する手 the most forcing moves → チェックする手など
2. 次に強制する手 → 次手メイト狙い、駒を取る手、など
3. 可能性のある手 → これを考えると視野が広がります

初手はその手を指さなくても、後でその手を使うこともある、ということを頭のすみに入れておきましょう。

1つ気をつけたいのは例えば 1.Rxb7+ が良さそうだと思ってその手だけ考えようとすると、先ほど述べたようにそれで上手くいく場合もありますが、視野が狭くなるので、まず候補手を全てあげる方が良いでしょう。




最も強制する手から考えていきます。先に 1.Qxa7+ を見るか、1.Rxb7+ を見るかは人それぞれでしょう。1.Qxa7+ Kxa7 2.Ra5+ Ra6 はダメそうなので、1.Rxb7+ を見ていくことにしました。

1.Rxb7+ Kxb7 から白2手目 候補手
2.Qg5+ が先に浮かびますが、最も強制する手から考えるのがポイントです!

2.Qxa7+  
2.Rxc7+! → この手に気づいたときこれか! と思いました。2.Rxc7+! Kxc7 3.Qxa7+ Kc8 で良さそうでしたが、とりあえず他の2手目を書き出します。

2.Qg5+   2.Na5+
2.Rc6   2.d6
など




今回は key move に気づくと上手くいくケースでした。

1.Rxb7+ Kxb7 2.Rxc7+! Kxc7 ( 2...Kb8 or 2...Ka8 3.Qxa7# )
3.Qxa7+ Kc8

始め、4.Nd6+ を考えましたが、4...Rxd6 となるため 4.d6 を思いつきました。

4.d6 Rxd6 5.Nxd6#
4...Rxd6 以外は 5.Qc7#


記事が長くなりますが、別のケースを見て見ましょう。


Smagin - Hebert
Montreal 2000


同じく Forcing Chess Moves の本に出てきた問題です ( 白先手 )。

私は初手にクイーンを動かす手、1.Rxf6、1.Nxh7、1.Re7、1.f3 などを考えましたが、1.f3 とした時に Re6 が e7 にすでにあると考えてしまい、間違えました。今回は紙に書いて考えなかったので、紙に書いて考えるべきでした。

考えられる初手は
1.Qxh7+  1.Qxf8+  1.Qg7+ → すぐこの手はダメだと分かる。
1.Rxf6 → この手かなと思いましたが、1...Rxf6 2.Qh7+ Kf8 以降ダメそう。
1.Nxh7 Nxh7 でダメそう。実は 1.Nxh7! が key move でした。
1.Re7  1.f3
など

この問題で注目すべきは 1.Nxh7 を考えていながらも、1...Nxh7 とされるとダメだと思い、その後を考えなかったことです。key move に気づいても上手く行かなかったケースです。他の候補手を考えているうちに疲れてしまったので 1.Nxh7! Nxh7 以降を考えなかったというのもありましたが、紙に書いて考えていれば、その後の手に気づいていたかも知れません。




1.Nxh7
1...Nxh7 2.Rxg6+ Kf7 3.Qxh7+ Ke8 4.f3 で白優勢
1...Qxe6 2.Qxg6+ Kh8 3.Nxf8 で白有利

最も強制する手 ( the most forcing moves ) を始めに考えるとしても、求められるのは最善の強制手 ( the best forcing move ) です。


今後、Tactics 問題で変化が多く分からなかった場合は、紙に書いて考えていこうと思います。
紙に書けば、混乱を避けやすく、key move に気づきやすくなるでしょう。そして、紙に書いて行う
考え方を頭の中で行えるようにしていきたいです。

chess.com の online chess などで analyze board を使って先の局面を見ていくことが可能ですが、これは読み能力向上の妨げとなるので注意が必要です。通信チュスしかやらない場合は analyze board を使っても全く問題ないですが、ライブゲームをするプレイヤーで読みの能力を向上させたいなら、通信チェスでもゲーム中に analyze board を使わない方が良いでしょう。
ゲーム後の見直しで analyze board を使うのはまだいいですが。