攻撃の組み合わせ


前回 「 攻撃の加算 」 の記事では
すでに攻撃している駒があるなら、さらにその駒に攻撃を加えることを考える

ということを述べました。

今回は
攻撃する手が存在するなら、他の攻撃と組み合わせたり、攻撃の順番を変えることを考える

ということについて述べていきます。

駒がある程度展開すると、相手の駒に攻撃する手がいくつかあるようになります。普通に攻撃したのでは特に有利を得られない攻撃でも、他の攻撃と組み合わせたり、攻撃の順番を変えることで
有利を得られる場合があるので、「 攻撃の組み合わせ 」 というものを考えるようにします。

いわゆる Combination というやつです。

参考例 1  黒先手


Petrosian - Kasparian
Erewan 1946

Position and Pawn Tension in Chess - David H. Levin の本の中で、「 Pawn Tension を
解放する良い理由 」 の例の1つとしてあげられた局面です。

白は 24.Na7 として Rc8 の動きを強いり、その後 25....c6 26.bxc6 Nxc6 とする狙いがあるため
黒は 23...dxc5 24.bxc5 c6 としてそれを防ぐというものです。

しかし、私がここで注目したのは 24.Na7 25.c6 bxc6 26.Nxc6 とする攻撃の組み合わせです。

Na7 と c6 の攻撃はそれぞれの攻撃のみでは有利を得られませんが、Na7 と c6 の攻撃を組み合わせることにより Nb5 を c6 へ運ぶことができます。

私はこの攻撃の組み合わせに気づきませんでしたが、これを見て攻撃の組み合わせを考えるようにしようと思いました。



参考例 2  白先手


最近の私 ( 白 ) のゲームから 。 18...Qxb2 でポーン1つ得した黒が有利な局面です。

ここで Qc4 で Bc5 を攻撃する手と、e6 で f7 ポーンを攻撃する手があります。どちらもその攻撃だけでは有利を得られませんが。

19.Qc4 Bb6? 20.e6 fxe6 21.Qxe6+ Kh8 22.Ng5 で白優勢になり、その後 勝つことができました。

19.Qc4 で Bc5 の守りを強いたことと、Qxe6 でチェックがかかることは両方とも次の手につなげる
テンポを得ています。

黒は 19...Qb5 としていれば黒有利の状況でした。


攻撃の組み合わせ 」 で有利を得るには、攻撃の順番を変えるだけで成功する場合もありますが
相手に対応を強いることがカギとなるので、相手の対応を強いる攻撃があったら他の攻撃や狙いと組み合わせて有利を得られないか考えるようにしたいです。

相手に対応を強いる手は Forcing move と呼ばれます。

強いる度合い

1. チェック
2. 次手でメイトの狙いがある
3. 駒をとる
4. 何かの狙い
5. 次の手で駒をとる攻撃

など。これらの手が存在する時は 「 攻撃の組み合わせ 」 を考えましょう。


小話
Tactics と Combination の違いは何でしょうか? ネットで少し調べてみましたがスッキリした解答を得られませんでした。人によって解釈も異なりそうです。

私の理解は間違っているかもしれませんが、私が思うに

Tactics
ピン、フォーク、ダブルアタックなど名称がある、短期的な攻撃方法 。Tactics は1手できまる場合もある。

Combination
いくつかの攻撃や狙いなどを組み合わせて有利を得るもの。1手の Combination というものはない。Tactics も数手かかるものならば Combination と言える。

Combination (chess) - Wikipedia


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